『楽園まで』
張間ミカ
徳間書店(2009)
内容
雪が降り続ける世界。普通の人と目の色が異なるオッド・アイの少女ハルカと弟のユキジは、異能を持つために悪魔と呼ばれ、教会に追われていた。
ハルカは心を失った双子の弟ユキジの手を引いて<楽園>を探す。
旅の途中に出会った青年ウォーテンは二人が悪魔であると知っても態度を変えなかった……。
一方悪魔を狩る役目を担う「狩人」の青年ルギは、教会に疑問を抱き始めていた。ハルカとユキジは、<楽園>の在り処を知るが、「狩人」たちに追い詰められて……。
――お願い。なにも望まないから、なにも奪わないで。
(表紙裏より)
==+==
予想以上に良かった。
文章がしっかりしているし、簡単な言葉が効果的に使われているように思う。世界観もよく描かれているし、けれどそれが退屈しないような形で盛り込まれているから、全体的に読み易い。
ただ、欲を言えばウォーテンをもっと深く書いて欲しかったかもしれない。いや、これでも十分満足しているのだが、何となく。
実のところ、イラストに惹かれて手に取った。それから表紙裏の「――お願い。なにも望まないから、なにも奪わないで。」という一文で購入することに決めた。自分の直感は正しかったと思う。
冷たくて白い雪。その匂いと凍えた指先の感覚が読み手にも伝わるようだった。
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