『エンデュミオンと叡智の書』
マシュー・スケルトン/大久保寛訳
新潮社(2008)
状態・初
あらすじ
何も書かれていない空白の本。全世界を支配できるその本を守るため、現代のオックスフォードと15世紀のドイツを舞台に二人の少年が繰り広げる冒険ファンタジー。
==+==
本屋で思わず衝動買いしてしまった本。一言で言えば、羨ましい…!
オックスフォードの図書館とか本当に憧れる。メインの舞台は600万冊以上の蔵書を誇るボドリアン図書館。羨ましいとしか言えない。地下書庫にまで入ってるしね。
ストーリーの展開が少しゆっくりな気もしたが、図書館やら古書店が多く出てくるので全く問題がなかったように思う。むしろその辺りは非常に楽しかった。
あとファウスト(ゲーテの、ではない。民間伝承の方だ)に関連したものが結構出てくる。図書館によく忍び込む猫の名前がメフィストフェレスだったりとか。
15世紀ドイツでの悪役、ヨハン・フストが“ファウスト”とされる事からだろうが、もう少しその事を強くおさないとファウストに関する事が浮いてしまっているような気がした。途中でファウストは要らないのではないだろうかと思ってしまった。いや、ファウストは好きなのでかなりテンション上がったのだが。
史実に基づく所も多々あり、グーテンベルクの活版印刷術なども知れて良かった。というか、この史実には非常に興味が湧いた。
二人の少年にもう少し関連性というか、接触(夢でとか)があっても良かったんじゃないかと思う。微かな繋がりしか見えなかったので、二つの話が独立したように思えてしまった。
本から始まるファンタジーといえば、エンデの「はてしない物語」を思い出すが、あれとは形の異なるものであった。はてしない物語では主人公の少年が本を通して世界を渡るが、エンデュミオンでは二人に別々の物語が用意されている。
あとは、少しラストが物足りないような気もしたが、あれはあれで良いのかも知れない。
とりあえず、ペーターがカッコ良かったとだけ加えておこう。彼も実在の人物らしいが。
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